華氏451

華氏451 [DVD]

華氏451 [DVD]

タイトルの華氏451というのは、本が自然発火する温度らしい。
華氏と言われてもピンと来ないので摂氏に変換してみると華氏451=摂氏232.7となった。
変換表
錫や鉛も溶けてしまう温度、それが華氏451
この映画では全ての本が禁止されている世界。
経済論や思想論はよからぬ考えを生む元だ。
小説なんて嘘の話じゃあないか。
主人公のモンターグの職業は悪の根源である本を始末する「ファイアマン」。
ファイアマンと言っても火を消す消防士ではなく、禁止された本を見つけて火をつける焚書隊だ。真面目な仕事ぶりから昇進の話も出ている。
妻もいる。妻の趣味は壁掛けの薄型テレビ(1966年の映画なのに!)で退屈なテレビを見る事だ。趣味と言うか、生きがいなのだろう。
そんなモンターグがメイという妻に似た女性と出会う。
彼女は言う。「どうして本はいけないの?」
実はモンターグは本の良さを知っており、自分の部屋に本を隠し持っていたのだ。
焚書隊の自分と本の理解者である自分。その葛藤。
モンターグの葛藤が良く伝わってくる映画だ。
後半のシーンで焚書隊に自分の家の本が見つかり、自分自身で燃やさねばならなくなった場面。本を燃やさずテレビやベッドを燃やすモンターグの心情がとても伝わってくる。
また本を愛するがゆえに町から逃げ出した者たちが本の内容を記憶し、暗証しつつ歩く映像。
あの映像を観て知ることにより映画のオープニングの映画自体のナレーションが生きてくる。
監督であるフランソワ・トリュフォーヒッチコック信者なので
音楽がヒッチコック映画のようにとても良く使われているのもいい。
またSFなので風景が大切になってくるのだけれど、
いかにもな機械などを使わなくてもちゃんとSF風景になっているのもポイントだ。
この『華氏451』は俺が言うまでも無く歴史に残る名画だ。