SAW3

ソウ3 DTSエディション [DVD]

ソウ3 DTSエディション [DVD]

※毎度の事ですがネタバレ全開で感想を書いてますので未見の人は気をつけて下さい。
感想の都合上ストーリーを追っていくのでSAW1とSAW2のネタバレも書いちゃってますよ!
SAW3』というだけに1と2の内容を知っていることが前提となっている内容。
つまりは現在のジグソウがアマンダという事を観客が知ってしまっているわけだ。
前作を見たときに「次回作の脚本は大変だろう。観客はもう『この中の誰がジグソウなんだ?』と犯人探しをしてしまうから」と思った。
しかしさすがはプロの映画人。そんなつまらない脚本にはしなかった!
ストーリーの序盤で女性警官(そのすぐ後に肋骨を裂かれて殺された女性だ)が
「これはジグソウの手口じゃない」という台詞を言う。
でもビデオにも例の腹話術人形が写っているし、基本的な手口はジグソウそのものだ。
つまり、ここで観客は2つ思うわけだ。
1)新たなジグソウ(もしくは手口を似せた模倣犯)の出現
2)アマンダが未熟
その後すぐにアマンダがまだジグソウをやっているというのが解るので
アマンダがジグソウとして未熟なのだという事になる。という事は!今回のストーリーで『アマンダが完全なジグソウになる』か『アマンダがジグソウで無くなる』となるのか!
そして同時に進行するジェフのゲーム。これがあまりに緩すぎる。
最初の扉にいた吊られた女性も、その次の判事も最後に用意された自分の息子を殺した犯人でさえ「ざまあみろ」とばかりに見過ごしてもジェフにダメージは無い。
むしろ自分の子供の復讐も出来て一石二鳥じゃあないか!
家庭用ゲームのように考えるならタイムアタック狙ってダッシュで通り過ぎる場所だ。
そんなゲームを果たしてジグソウが用意するだろうか?
しかも初代ジグソウは「ある男がここにたどり着くまで自分を生かしておく」と言う内容のゲームを女医のリンとしている。
つまりは『ある男=ジェフ』が自分の所にたどり着いたら死んでもいいと言っているわけだ!
それなのにタイムアタックを出来るような(実際には出来なかったが)ゲームを用意するのだろうか?
じゃあ逆に「自分を生かすことが出来ないと死ぬ」というリンに課したゲームの
難易度を上げる為にタイムアタックをさせているのだろうか?
結果としてジグソウが行っていた『初代ジグソウ生存ゲーム』はリンに対してではなく
アマンダに対するゲームだという事が解り、それにミスしたアマンダは死んでいく。
残念だけれどアマンダはジグソウになる事は出来なかった。
これでさっき言った『アマンダが完全なジグソウになる』説は消えてしまった。
そしてその後すぐに初代ジグソウもジェフに殺されてしまう(それと同時にリンも死んでしまう)
しかしジグソウは「自分(ジグソウ)は死なない」と以前から言っていた。
そこで死ぬ間際にジグソウが押したテープレコーダーから
例の口調で「ジェフの娘をさらっている。彼女を助けたければゲームをしろ」と流れる。
1作目からの『ジグソウは常に最前列にいる』というのはシリーズを通して崩れていない。
しかし初代ジグソウも2代目ジグソウも死んでしまった!
ジェフは娘を救う為にゲームをしなければならず、そのゲームを最前列で見ているのはジェフしかいない!
つまり娘を救う為にジェフはジグソウとならざるを得ない!
SAWは4作目も決定しているのだが、全員死んでしまった現状での4作目なら
観客は結局フーダニットをしてしまう。
それをさせないためのこの結末は拍手を送りたくなるほど素晴らしい!
このソウ3はグロテスクなシーンが以前よりも増しているのだけれど
それはおそらく観客に論理的な思考をさせない為ではないだろうか?
感情を揺さぶられている間にストーリーが進むと観客は観るしかなく、
また考えようとしても強烈なシーンでリセットさせられてしまう。
この監督は本当に上手い!
次回作も期待してよさそうだな!