ロッキー・ザ・ファイナル

「いまさらロッキーなんて」そう思っていました。
この『ロッキー・ザ・ファイナル』は
そんな俺のような奴に向けて作られた映画でした。
ボクシング界で成功を収めたロッキーも今では小さなレストランのオーナー。
そこに訪れる客に昔話を聞かせる毎日。
妻のエイドリアンは既に他界、息子は親の七光りを嫌って家を出ている。
ロッキーは空虚な毎日から抜け出すべくボクシングを始める。
それを人気の落ち目の現チャンピオンが知り、話題作りの為にロッキーと対戦する事に!
そんな感じのストーリーなのだが、これが本当に良くできている!
俺がこの映画を観て最初に思ったのは
「1作目でバーの主人が店をやっている事にケチをつけていたのに
自分もレストランやっちゃってんのかよ!」という事だ。
ロッキーらしくない。
大人なら安定した道を選ぶのは当たり前だと思うのだけれどロッキーらしくない。
そんなロッキーがエイドリアンとの思い出の場所を巡る。巡る。
このシーンではロッキーとエイドリアンの出会いを思い出させてくれた。
あのアイススケート場が無い事でエイドリアンのいない現実が物凄く寂しく伝わってきやがった。
そして先述のバーを訪れたとき、1作目で出てきた少女と出会う。
少女はあの時とさほど変わらない悪い生活をしている。
ロッキーのちっぽけな力では少女一人変えられないのか!
それでチャンピオン気取りか!情けない!
変えられることの証明をする為なのか、再度ボクシングを始めると言い出すロッキー。
止める息子。息子ならあたりまえの言葉だ。
ここだ!ここでロッキーが言う言葉!
これはディカプリオやデップさんが言っても駄目だ!スタローンが言うから良いのだ!
俺のように「スタローンが今更ロッキー?」と思ったように息子も思う!
「親父が今更ボクシング?」
そう!この言葉はロッキーがボクシングに挑戦する言葉であるだけでなく
スタローンがロッキーに挑戦する言葉なんだ!
この言葉を聞いている俺は、まるで親父に言われている感じだった。
ここから畳み掛けるようなストーリーを見ている俺は親父を観ている気持ちになっていた!
頑張って欲しい!でも止めて欲しい!でも止めないで欲しい!
そんなロッキーが夢を叶える為にチャンスをくれるのが黒人のチャンピオン。
これはロッキー1作目と同じだ!
オープニングの歌もロッキーでおなじみの歌だし、本当にこれはロッキーだ!
俺の好みで言うと、ラストの判定は言わなくても解るだろうから言わずに
手を上げたところでENDで良かったと思う。
でもそんなものは些細な事だ!
これは本当にロッキーだ!最高の映画だ!