地球最後の男 オメガマン


我らのヒーロー!オメガマン!今日も地球を守ってくれてありがとう!
そんな内容ではありません。
もちろんキン肉マンに出てくる超人の話でもありません。
中国とソビエトの間で起こった細菌兵器による戦争。
細菌兵器は疫病のごとく広まり、世界中の人々を瞬く間に死滅させていく。
主人公のネビルは細菌の開発者であったが為に
地球でただ一人の生存者になってしまった。
わずかに生き残った人々もいた。
だが、彼らは日中を歩く事の出来ない真っ白な肌の化け物と変貌を遂げ、
ネビルに襲い掛かってくるのだった。
主人公のネビルを演じるのは、俺を感動させてくれた近未来SF
『ソイレント・グリーン』の主役でもあったチャールトン・ヘストン
どうやら俺は彼の演技が好みらしい。
そしてこの脚本!
原作はリチャード・マシスンの『I am legend』という小説で
それを現代風(当時のだが)にアレンジした内容になっているとの事。
素晴らしいアレンジ!
で、本編の感想。
観始めて10分ぐらいで俺が思ったのは
「もし俺が世界でただ一人の生き残りになってしまったら、すぐに自殺してしまうだろうな」
という事。だって誰もいない世界で同じ明日を迎えても虚しくなるって。
しかし!ネビルは死ななかった!
わざわざバーまで行って酒を飲み、鏡の中の自分と乾杯をする!
家に帰ってモニターに写った自分に話しかけ、マネキンをチェスをする!
日曜になるとオシャレな服にも着替えてしまう!
そして夜になるとやってくる化け物達を銃で撃つ!
そしてネビルは他の場所に隠れて生き残っていた人間達を救う為に
自分の血から血清を作ったりする。
ラストの泉のシーンが表すように、まるでキリストのような自己犠牲。
化け物から世界を救う為に。
でもちょっとまてよ。
化け物って悪い事してないんじゃあないのか?
ネビル以外殺さないし(といってもネビルしかいないのだが)、意識もハッキリしているからコミュニティを作って生活している。
この映画の真髄はそこにあるのだと俺は思う。
藤子不二雄の短編に『流血鬼』という話がある。
この話と同じく、吸血鬼に襲われる男が主人公。その話のオチがこうだ。
「なんて清々しい!もっとはやく吸血鬼になれば良かった!」
先述のソイレント・グリーンが『カンビュセスの籤』の元ネタように
たぶん藤子不二雄はこの地球最後の男を(もしくはI am legendを)観たのではないのだろうか。それで疑問に思って書いたのが流血鬼なんじゃあないのだろうか。
映画は人間VS化け物の決着はつかないまま幕を閉じる。
それはやはり判断は下せない、下す必要が無いからなのだろうか。
地球最後の男 オメガマン。色々と考えさせてくれる良い映画でした。

地球最後の男 オメガマン
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